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学類長あいさつ

心理学を学ぶことのできる大学は全国に数多くありますが、筑波大学心理学類ほど、長い歴史を通して、一つの学科で広い分野にわたって心理学の研究者を擁している大学はありません。心理学類では、異なる心理学分野を専門とする約30名の教員が学類生の教育に携わります。「これも心理学なの?」と思われるかもしれない様々な「心理学」が筑波大学にはあります。是非、多くを学び、「これは面白い!」と思える分野に出会い、強く魅了されて欲しいと思います。

心理学は、人間の心と行動を科学的にまた実証的に探究する学問です。私たちは、日常生活の中で、文字を読み、景色を愛で、思い出にふけり、作戦を練り、友人と喧嘩し、喜んだり、あるいは悩んだりといった心的活動を経験します。心理学では、誰しもが経験する様々な心的活動を実証的に研究します。しかし、このような心的活動は、手にとって直接的に「メジャー」をあてて測ることができませんから、何らかの方法で間接的に測ることになります。そこに心理学の研究の難しさと創造性を発揮できる醍醐味があります。

心理学は、人間の心や行動がかかわることすべてが研究対象となりますので、間口が広く、かつ深い人間理解が可能となるたいへん魅力的な学問です。心理学は一般的には文系の学問と捉えられていることが多いですが、理系に強い人が力を発揮できる学問でもあります。そのため、入試科目の選択肢は幅広く対応しています。

入学後は、1・2年次で心理学の基礎的な知識だけではなく、心理統計や方法論という科学的な研究を行うための手段を学び、また専門の英書を読みこなし、実際の心理学の実験や調査に協力者として参加することで、机上の学問に留まらず、心理学の研究を身をもって体験します。2・3年次ではより主体的に選択して専門分野の講義を受けつつ、演習で最新の研究動向を勉強します。同時に、教員の指導の下、個人またはグループで研究計画を立て、実験や調査をし、データを集めて分析し、その結果を発表するという一連の研究実習を行います。そして、4年次には各自の興味関心に応じた分野で卒業研究を行い、卒業論文を作成します。

社会には心理学の知識や研究成果を生かせる場が数多くあり、一般企業に就職する人も多いのですが、専門を生かした、例えば、少年鑑別所や刑事施設の法務技官(心理)や家庭裁判所の調査官、児童相談所の児童心理司・心理判定員などの職に就く人もいます。また、研究者やより高度な専門職職業人を目指して大学院へ進学をする学生が半数近くにのぼります。

日々の生活の中で私たちが「当たり前」にこなしていることに対して「なぜ?」と好奇心を持てるみなさん、筑波大学心理学類で心の仕組みの不思議を探検してみませんか。

心理学類長 外山美樹